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株式会社名古屋画廊
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企画展開催スケジュール

5月27日(金)-6月4日(土)名古屋市芸術特賞受賞記念 吉岡 弘昭 展 展
《人・犬・宇宙(寓意の風景)》90.9×116.7㎝(50F)、アクリル・キャンバス
名古屋市芸術特賞受賞記念
吉岡 弘昭 展
HIROAKI YOSHIOKA
―人・犬・宇宙―
5月27日[金]-6月4日[土]’22
11:00a.m.-6:00p.m. 日・祝休廊
(土曜日 12:00p.m.-5:00p.m.)
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■吉岡弘昭先生の壁画       
                   中山 真一            
絵は出来るだけ無造作に描かれたものがいい、風に揺れながら気軽に壁にピンナップされている落書きのような仕事が最高だ。吉岡弘昭(『吉岡弘昭 水彩、版画展』案内状、ギャラリー青樹(静岡県伊東市)、1995年)
 吉岡弘昭先生は、ルネサンス以降の泰西名画の類に感動したことがないという。「ジオットもですか」とつい聞きかえしたものの、「トイレの落書きのほうが好きです」とあっさり返されてしまった。
吉岡先生は、1942年(昭17)名古屋市生まれ。早くから油彩画が北川民次に認められるなど二科会で活躍する。フリーになってからも銅版画や水彩画、アクリル画で感覚的かつスピーディーな描法のなか、正体不明の生きものたちが躍動するユーモラスにしてペーソスあふれる独自の画世界をきずいた。そして、20代から複数の幼稚園で園児に絵を教えていた縁から、愛知県内6つもの幼稚園・保育園や1つの小学校で建物外壁などにモザイクタイル他による大きな壁画を、しばしば現代美術作家・中山正忠やみうら英らを助手にして制作している。
 先日、それらのうち建物外壁にあって敷地外からも見学できる5つを私どもの女性社員と見てまわった。どの壁画も、吹きわたる風をうけながら微笑むように揺れている。描かれている生きものたちは、まるで空や地上へと飛びだしていきそうだ。紙やキャンバスとは勝手のちがう壁画という手法でも、吉岡先生の美学はいささかもそこなわれるところがない。むしろ建築上の制約をプラスに変えるかのような制作ぶりが見うけられる。使われているタイルもけっして高価なものではないであろう。また、園児むけという余分なメルヘンもなかった。
 かつて北川民次は、ディエゴ・リベラらによる20世紀メキシコ巨大壁画群にならい、生きる喜びと社会性を両立させるような素晴らしい壁画を愛知県内でいくつも制作している。一方で吉岡先生は、その民次に壁画制作数でせまるばかりでなく、内容的にもけっして引けをとるところがないと私は見た。《フクロウの村》(モザイクタイル、約10×4m、1984年作、ユタカ幼稚園、名古屋市南区)をはじめどれも幼児や児童たちばかりでなく、地域のひとたちにも健康的で快活な人生を啓発していよう。どの壁画の前でも、女性社員と感激しあって喜んだことである。                                   
文芸同人誌『中部ぺん』第27号(中部ペンクラブ、2020年)より転載。

■略歴:1942/名古屋市生。63~67/二科展・毎日現代日本美術展・仏政府留学毎日美術コンクール展等に入選。1970年代からドライポイント(銅版画刻法)を中心に銅版画の制作を始める。73/針生一郎の企画でピナール画廊(東京赤坂)にて個展。89/リュヴリアナ国際版画ビエンナーレ展(招待出品)。90・94/・ソウル国際版画ビエンナーレ展(招待出品)。95/Japanese Graphics(リトアニア国立美術館)など内外の展覧会に出品。1980年以降、水彩ドローイング・油彩・アクリル画の制作発表を精力的に行っている。
〈受賞〉1987/名古屋市芸術奨励賞。2013/愛知県芸術文化選奨文化賞。2022/名古屋市芸術特賞。
〈パブリックコレクション〉愛知県美術館、栃木県立美術館、大分県立美術館、新潟市美術館、碧南市藤井達吉現代美術館、町田市立国際版画美術館、佐喜眞美術館、エジプト現代美術館、大英博物館等。


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